企業の倒産回避が中国経済の重しに、昆明からシンガポールへ複線鉄道

企業の倒産回避が中国経済の重しに、昆明からシンガポールへ複線鉄道

公開日 2023.11.14

英エコノミスト誌11月2日号は財政・経済欄で「中国経済は混乱している。企業はなぜ倒産しないのか」というタイトルの記事で中国経済の現状を分析している。副題は「破産を避けたい政府の意向がもう一つの成長抑制要因になる」だ。同記事はまず、香港高等法院(高裁)が10月30日に、この日予定されていた中国不動産開発大手・中国恒大集団に対する会社清算申し立てに関する審理を延期したが、次回審理は恒大が債務再編案を提示するラストチャンスとなることに言及した上で、中国の不動産部門に多くの危機が訪れているにもかかわらず、中国の不動産開発会社12万4665社中、昨年1年間で倒産したのは308社しかないという不動産業界誌のデータを紹介する。

そして、中国の企業の倒産率は米国の5分の1と極端に低い一方で、2020年には大手不動産開発会社50社中の半分がデフォルト(債務不履行)宣言するなど、中国は企業の債務不履行ラッシュの最中だと指摘。多くの企業が、リストラを通じた不良債権処理ができない中で新規借り入れの削減や既存ローンの返済に苦闘しているという。政策当局者や銀行、企業は皆、「リーマンショック」級のイベントを回避するために正式の倒産を阻止しようとした結果、生産性は低下し、経済危機は深刻化することになった。

同記事はさらに、破綻企業をより効率的な企業に置き換えるための市場経済のプロセスである「創造的破壊」は、中国では人気がないとした上で、地方政府当局者は最も非生産的な企業ですらより長く存続できるよう貸し手に圧力をかけていると指摘。銀行は国有であるために、融資ルールが債務再編の重要なルールである債務免除を制限しており、最終的に地方政府は損失のため窮地に陥っているとの認識を示している。そして破綻処理ができないことは、経営危機にある企業には借り換え以外の選択肢はほとんどないことを意味しており、不良企業の生命維持を続ける中国政府の対応策が中国経済の重しになっていると警告した。


タイ投資委員会(BOI)は9日、パーンプリー副首相が議長を務める本委員会で、自動車産業によるロボット・自動化システムへの投資について税制優遇措置を導入することを承認した。内燃機関(ICE)車、ハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)のいずれも対象に、機械の輸入関税の免除と3年間の法人税減免を適用する。東南アジア諸国連合(ASEAN)の自動車生産ハブであるタイの年間生産能力は190万台で、今年1~9月の自動車・同部品の輸出額は前年同期比1兆0200億バーツで、タイの輸出総額の14%を占めた。


4日付バンコクポスト(2面)によると、タイ政府は中国の昆明からシンガポールまでの貨物・旅客輸送の新たなルートとして2027年までの完成に向け複線鉄道システム建設の加速させる方針だ。タイ運輸省鉄道輸送局のピシェット局長は3日、この新たなネットワークはシンガポール、マレーシア、タイ、ラオス、そして中国をつなぐと説明。2027年開通の目標を達成するためにはタイは、複線鉄道の第2フェーズと第2タイ・ラオス友好橋の建設を急ぐ必要があると訴えた。

この新鉄道システムの第1フェーズは総延長627キロメートルで来年には完成予定。一方、第2フェーズは、チュンポン―スラタニ間の168キロ(事業費240億バーツ)、スラタニ―ハートヤイ間の321キロ(同570億バーツ)、ハートヤイ―マレーシア・パダンベサール間の45キロ(同66億バーツ)で構成される。同局長はこの第2フェーズはハートヤイ―パダンベサール区間から着工する予定で、タイ国鉄(SRT)が今月中にも閣議承認を求めることを明らかにした。一方、運輸省高速道路局が複線鉄道を敷設予定のノンカイの第2タイ・ラオス友好橋の建設の可能性に関する調査を終えたところだとしている。

TJRI編集部

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