「1万バーツ」のデジタル通貨配布は見通し難

「1万バーツ」のデジタル通貨配布は見通し難

公開日 2023.10.31

今年5月の総選挙で第2党になり、その後、連立政権を樹立したタイ貢献党が主要選挙公約に掲げていた1万バーツのデジタル通貨配布案の実現が見通し難だという。23日付バンコク・ポスト(ビジネス1面)の記事はまず、ハマスとの紛争を受けたイスラエルで働くタイ人移民労働者の帰国問題がセター政権の緊急課題になっているが、選挙公約だった1日当たり最低賃金の400バーツへの引き上げが実現しても海外の賃金の方が高いため、タイ人を母国に戻すには不十分だろうと指摘。その上で、1万バーツのデジタル通貨配布計画についてもその財源に関し長期的なリスクがあると指摘するエコノミストもいて、実現が疑問視されているという。

同記事によると、CIMBタイ銀行(CIMTB)の主任エコノミストのアモンテップ氏は、デジタル通貨については、その財源、使用するデジタルツールの様式、運用方法などの詳細はまだ明らかではないと指摘。このため、CIMBTはこのスキームが適切な時に実行されるか予測はできないとした上で、タイ政府は来年初めの導入を計画しているが、同氏は、「多くの人が1万バーツのデジタル通貨配布を期待しているが、小売業者は税制を順守する必要があるためこのプログラムに積極的に参加するかどうかは分からない」と述べた。そして、この制度が2024年2月にスタートしたならば、来年の経済成長率の4%実現に貢献するだろうが、2025、2026年も4%成長を維持できるか確信できないとしている。

一方、アモンテップ氏は、最低賃金の引き上げについては。連立政権内での議論次第だが、巨額の予算は必要ないため、政府は計画通り実行するだろうと予想。これは一部の中小企業に影響を与えるので、政府はスキル訓練プログラムの提供や技術開発や自動化向けのソフトローンの供与などを通じて中小企業を支援すべきだと強調した。


27日付バンコク・ポスト(ビジネス3面)によると、小売り大手ザ・モール・グループのスパラック会長は、タイ政府の観光産業支援の取り組みは正しい方向性だと評価した上で、タイへの外国人旅行者数をより多く呼び込みタイ経済を押し上げるアイデアを披露した。同会長は、「民間部門の代表として、われわれは、タイ全土で国内外の人が利用できるアトラクションへの投資を促進する特別な恩典を提供することを政府に望む」と強調。さらに、外国人観光客へのアピール度を高め消費を喚起するようなさまざまな地域の観光目的地のゾーニングを見直すよう提言。具体的には、チェンマイやパタヤ、プーケット、クラビなどの観光地でインドネシアのバリ島と同様にサービス営業時間の延長が不可欠だとしたほか、「これらの観光地はコンサート会場や他の多様な娯楽施設など、アジアのプレミアムな観光地としての特徴を備えるべきだ」と訴えた。

日本人が多いBTSプロンポン駅周辺で既にエンポリアムとエムクォーティエという大型商業施設を運営するザ・モール・グループだが、今年12月には「The EmDistrict」と命名した同地区で3つ目の大型商業施設「エムスフィア」を開業する予定で、タイの小売業界の元気さの新たな象徴ともなりそうだ。


23日付バンコク・ポスト(ビジネス4面)によると、石油大手バンチャク・コーポレーション(BCP)は来年製造を開始する持続可能な航空燃料(SAF)が航空業界で普及していくだろうとの見通しを示した。同社のチャイワット最高経営責任者(CEO)は、伝統的なジェット燃料が環境に与える影響への懸念が高まる中で、多くの企業がSAFの購入意欲を高めていると指摘。「われわれは、SAFの潜在的な買い手から多くの歓迎意向を受けている」と述べた。バンチャクは、バンコクのプラカノン地区にある同社の製油所の隣接地に100億バーツを投資してタイでは初のSAFの製造施設を建設中で、2024年末までに完成予定。生産能力は日量100万リットルで、2024年末から2025年初めまでに商業生産を開始する計画だ。

TJRI編集部

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