東南アジア最大規模のテック会議、タイのコメ農家はアジア最貧

東南アジア最大規模のテック会議、タイのコメ農家はアジア最貧

公開日 2023.08.02

タイ国家イノベーション庁(NIA)は6月22〜24日に、クイーンシリキット国際会議場(QSNCC)で「Startup X Innovation Thailand Expo 2023(SITE 2023)」を開催した。今年のテーマは「イノベーション・パートナーシップ」で、持続可能な農業や食品、健康・医療、AI技術など250以上のスタートアップ企業や革新的なビジネスが参加、日本やマレーシア、シンガポールなど海外からのブース出展もあった。

同イベントではまず、NIAのパンアート事務局長が「東南アジア最大規模のテックカンファレンスが本格的に復活した。政府機関と民間部門、市民社会がいかに効果的に協力できるかが課題だ」とした上で、「公共部門、民間部門、教育部門、社会部門という4つの部門すべてが協力してタイをイノベーション国家へと推進していく」とSITE2023開催の狙いを説明した。

続いてドン副首相兼外務相が開会あいさつし、「イノベーションは単なる利便性にとどまらず、生活・社会・経済の質を向上させる未来へ導く。スタートアップの起業家や中小企業が革新的な考え方を通じて競争力を強化し、その能力を世界的レベルまで引き上げるイノベーション・ベースの企業となるよう促進する」と強調した。

今回のイベントにブース出展したタイのスタートアップ企業の一つが、電気自動車(EV)充電スタンド設置などEVユーザーのためのソリューションを提供している「Onecharge」だ。同社はEVユーザー向けには全国の全ブランドの充電スタンドを検索できる機能や充電状況の開示、ウォレット機能もあるアプリケーションを提供。さらに、充電スタンドを所有したい人向けには、15ブランドの充電器メーカーのパートナーによる設置サービスや専用プラットフォームを用意した。

また6月23日には、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によるスタートアップ・ピッチも開催され、日本企業9社が参加した。このうち、手振れを制御しながら医師の操作を省力化する「マイクロサージャリー支援用ロボットシステム」を開発した「F.Med」は、乳がん患者や虚血性脳血管障害、指を切断した患者などのマイクロサージャリーの必要な患者の治療に役立ち、宇宙産業などにも応用できるとアピールした。

また、温度を用いた痛みの錯覚システムを応用、ひっかき傷を防ぐというユニークなかゆみ緩和デバイス「ThermoScratch」を開発した「大阪ヒートクール」も登壇。同デバイスでは「冷たさ」と「温かさ」を同時に皮膚に与えることで、さも”ひっかいた”かのような感覚を与えることができ、我慢できないかゆみを和らげるという。皮膚を傷つけず、薬を塗るような副作用やベタベタ感もないのが特徴という。


727日付バンコク・ポスト紙(ビジネス2面)がタイ商工会議所大学(UTCC)の最新調査として伝えたところによると、政府の補助金支給にもかかわらず、タイの農家は1ライ(1600平方メートル)あたり2000バーツの損失を出す一方、過去10年間で債務が増えており、東南アジア含むアジアでも最も貧困だという。同調査によると、過去10年間、タイ政府は農家支援のために市場介入を続けてきたが、農家の所得をほとんど増やせなかった一方で、その債務は1人当たり平均で10万~30万バーツに達している。この結果、2012~2022年のタイのコメ生産高、農家の収入、貯蓄は、インド、ベトナム、ミャンマーなどの主要コメ輸出国よりも低くなっているとしている。

具体的には、タイの農家の1ライ当たりの生産コストは2012年の3839.7バーツから5898.5バーツまで上昇。一方で、タイの農家の1ライ当たりの所得は2012年には4678バーツだったが、2022年には777.7バーツ減の3900.3バーツに落ち込んでいるという。この結果、タイの農家は2022年には1ライ当たり1998.2バーツの損失と、2012年の383.3バーツの黒字から赤字に転落した。

UTCCの国際貿易研究センターのディレクターは、「タイ産コメの1ライ当たり収量は450キロで、ベトナムはその3倍近い、1000キロ以上になっている」とした上で、タイとベトナムの農家の収益性の違いについて、ベトナムがプロのコメ農家なのに対し、タイではパートタイムで耕作している農家が多いためだと指摘。タイの農家が単位当たり収量と価格のみを重視する一方、生産コストの削減にほとんど関心を持っていないのに対し、ベトナムの農家は「コスト」「化学肥料」「農薬」の3つの削減と同時に、「生産性」「品質」「利益」の3つの向上に取り組んでいると説明した。

TJRI編集部

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