プラごみとPM2.5、ASEANのEVイニシアチブ

プラごみとPM2.5、ASEANのEVイニシアチブ

公開日 2023.05.16

13日付バンコク・ポスト(9面)はタイで懸念が高まっているプラスチック廃棄物問題に関する専門家の寄稿記事を掲載している。同記事は「世界で最初のプラスチック(合成樹脂)であるベークライト(フェノール樹脂)は1907年にベルギー人化学者であるレオ・ベークランドによって特許が出願された。ベークライトは20世紀前半にはさまざまな製品に利用されたが、その後の後継商品との比較においてその重要性は低下した」と話を始める。その上で、1950年までに世界のプラスチック生産量は約200万トンになったが、その後、2017年には80億トンに達し、偏在するものになったと指摘。そして、プラスチック廃棄量の58億トンのうちリサイクルされる量は10%未満であり、約80%は埋め立てられるか自然界で廃棄され、残りは焼却処理されているなどと現状を概観している。

その上で、プラスチック廃棄物は、最終的に海洋に流出することが問題であり、長年、中国がその最大の原因で、東南アジアも上位に来ていたが、それらは先進国から輸入されたものだったと説明。そして、中国が2018年にプラスチックごみの輸入を禁止したことで、タイなどへの輸出が急増したなどとこれまでの経緯を説明した。

そして「タイではプラスチックは両刃の剣」であり、多くの恩恵もあるが、ライフサイクルの最後を処理するシステムが未開発で限られていることを問題視。特にプラスチックごみ処理の仕事は、プラスチックごみ回収により受け取る報酬のみが収入となっている非正規労働者が従事していると強調。その上でプラスチック廃棄物に関するタマサート大学などの研究プロジェクトの結果を紹介している。

8日付バンコク・ポストは同じ9の論説欄で、東南アジア諸国連合(ASEAN)のもう一つの大きな環境問題であり、今年一段と深刻化している微小粒子状物質「PM2.5」などの大気汚染を取り上げている。タイトルは「Haze(煙霧)とのASEANの戦いは再考が必要だ」というもの。同寄稿記事は「新型コロナウイルス流行の収束と裏腹に、過去数年はきれいだった空に最近の森林などの火災による煙霧が戻ってきた。4月には、チェンマイは数日間、世界最悪の大気汚染の都市となった。ミャンマーのバガンや、ラオスのルアンプラバンのような世界遺産での観光業も影響を受けた」と指摘。その上でタイのプラユット首相が4月初めに、ミャンマーとラオスの首脳とこれら3カ国の間で国境を超える大気汚染対策での協力を相談したことを紹介している。

同記事は、東南アジアの伝統的な農業では季節的な小規模な「野焼き」が行われてきたが、「近年は土地利用パターンが変化し、現金作物やプランテーション作物による大規模な土地利用に伴う野焼きが有害物質を含む煙霧を拡散し、国境を越えるようになった」と分析している。これは昨年12月7日号のこのコーナーで紹介した北部メーホンソン県で山の急斜面での栽培が拡大しているトウモロコシの焼き畑農業もその1つの事例だと思われる。今回の記事はASEANも各国環境省で構成される煙霧対策の国際組織の取り組みに、農業・林業担当省を巻き込む必要があると訴えている。

12日付バンコク・ポスト(ビジネス3面)は、タイがASEANの「電気自動車(EV)イニシアティブ」に参加するとのニュースを伝えている。同記事によると、タイはASEANでのEV産業強化に向けた新たな取り組みとしてEVバッテリー技術を共同で研究開発する組織に参加したという。Thailand Energy Storage Technology Association (TESTA)のピンパ・リムトンクン会長は、この組織はASEAN経済での持続可能な開発も支援するとした上で、インドネシアのバリ島で5月9日から11日まで開催された「第1回ASEANバッテリー・EV技術会議」で、TESTA他の5組織とともに覚書(MOU)に署名したことを明らかにした。タイでもこのところ、中国勢の相次ぐEV投入だけでなく、バッテリー生産工場の開設発表が相次いでおり、バッテリー生産を含むEVハブ化の取り組みの成否を見守りたいところ。

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TJRI編集部

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