中国BYDはトヨタから学び、テスラを凌駕

中国BYDはトヨタから学び、テスラを凌駕

公開日 2023.02.14

2月4日付英紙エコノミストはビジネス欄で、「中国BYDは非凡な自動車メーカーとしてテスラを凌駕しつつある」というコラムを掲載している。副題は「それはEVのトヨタだ」。同記事は1月26日に突然発表したトヨタ自動車の社長交代人事から話を始め、「豊田章男社長は電気自動車(EV)に若干懐疑的なのは明らかだ。・・・トヨタ自動車は多くの人からEVに出遅れたと見られている」と、まず一般的な見方を紹介。そして、豊田章男氏より13歳若い佐藤恒治執行役員を後任社長に指名したことについて、EV時代に向けた動きを加速するために。新世代にバトンタッチする時だということを明確にしたと評価した。

同記事はその後、本題に移り、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が同社は世界最大のEVメーカーであり、後続は視界に入っていないとの認識を示していたが、BYDは今年、バッテリーEVの世界最多販売会社としてテスラを上回るだろうと予測。BYDはトヨタにとって世界的なライバルになりつつあるが、同時に中国ではパートナーでもあると指摘する。さらに「もっと重要なのは、トヨタが世界で最も成功した自動車会社として何十年も培った遺産の多くをBYDは見習いつつある」という興味深い認識を示す。さらに、トヨタ自動車とBYDは両社とも、自動車産業で創業したわけではなく、トヨタは豊田自動織機が創業、BYDは携帯電話のバッテリー生産から始まったとし、両者には歴史的な共通項があるとする。

そして同記事は、トヨタ自動車は1955年からの6年間で輸出を40倍以上に増やしたが、BYDは新エネルギー車(NEV)の生産台数が100万台に達するまでに13年かかったものの、その後1年で200万台、その6カ月後には300万台に達したとBYDの急成長ぶりを紹介。BYDは「新しいトヨタだ」と表現。改めて「トヨタ方式」「改善」を紹介、「日本企業は過去数10年間製造業における天才だった」と評価した上で、トヨタ自動車はサプライチェーン管理に特徴がある一方、BYDはシートから半導体、バッテリーまですべて自社生産するという違いがあるが、効率性の高さは共通しているとの認識を示している。

ただBYDの今後の課題が、現在、1台も販売していない米国市場だと指摘。トヨタ自動車など日本の自動車メーカーが1980年代の日米貿易摩擦のターゲットとなったことを例に挙げ、BYDも現在の米中貿易摩擦という地政学的な圧力にさらされ、米国市場参入の最大の障壁になるのが関税だとする。ただ、米国の自動車メーカーは中国市場に大きく依存しているため、BYDの米国市場入を阻止するロビー活動はできず、「最終的にはBYDの米国進出は避けられないだろう」とした上で、BYDは仮に米国進出が上手くいかなくても提携しているトヨタ自動車の支援を求めることができるだろうと結論付けている。


2月6日付バンコク・ポスト紙(1面)の特別リポートで、バンコク都のチャチャート知事が打ち出した、路上の屋台をシンガポールなどで導入されている屋外飲食施設「ホーカーセンター」に移設して歩道を通行しやすくするとの公約のその後の動向を報告している。同記事は、昨年12月の都庁の再編成により、19地区の区長がバンコク都の幾つかの地区で、歩道整備に着手できるようになったと指摘。チャチャート知事は「新しい区長が就任して問題解決への新たな問題への展望が開けた。スクンビット地区に行った際には実態が大きく改善しているのを見ることができた。次はシーロム地区をクリーンアップする」と述べたという。この取り組みは歩行者からは歓迎されている一方で、都内の屋台業者はホーカーセンター内の施設のリース料が高すぎると抗議しているという。

ある屋台業者は「バンコク都は1平方メートル当たりの1日賃貸料を当初150バーツ、3カ月後に500バーツに引き上げるとしているが、そのサイズが小さいことを考えると賃料は高すぎる」と批判。「多くの屋台業者は1日当たり500~600バーツの売上高しかないのに、最終的に1日当たり1000バーツ以上の賃料を支払わなければならなくなる」という。筆者もバンコク路上での屋台飯は好きだし、タイならではの観光資源だと思っているが、コンビニの前の狭い歩道を屋台が占拠し、混雑時には何とか通り抜けるのがやっとという状態はさすがに問題かなと感じていた。屋台業者の抗議にどう対処していくのか、チャチャート知事の手綱さばきを見守りたい。

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TJRI編集部

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