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公開日 2023.01.17
日本の発電会社JERAや三菱重工、タイの電力大手エレクトリシティー・ジェネレーティング(EGCO)やバンプー・パワー(BPP)、素材大手サイアム・セメント・グループ(SCG)などの日タイ大手企業は1月12日、タイでの脱炭素化に向けたさまざまなプロジェクトを共同で推進していくための協力の覚書(MOU)を締結した。これは経済産業省とタイのエネルギー省が昨年1月に署名したエネルギーパートナーシップ実現に関する協力覚書に基づいて開催された「日本・タイエネルギー政策対話(JTEPD)」の第5回会合に合わせて行われた。
タイの脱炭素化プロジェクトで多数の日タイ企業が覚書を締結=1月12日
この日、経済産業省の小林出・国際カーボンニュートラル政策統括調整官とタイ・エネルギー省のクリット次官立ち会いの下で締結された覚書は4つ。1つ目は、EGCO事業の脱炭素化に向けたアンモニア混焼についてEGCOとJERAが共同検討するというもの。2つ目は、EGCOとBPP、両者の折半出資会社BLCP、JERA、三菱商事、三菱重工業がBLCPの既存発電所でのアンモニア混焼の実現可能性調査を共同で実施するもの。3つ目は、BLCPと千代田化工建設、三菱商事によるBLCP向けの二酸化炭素回収・貯留(CCUS)の実現可能性調査の実施。4つ目は、日鉄エンジニアリングとSCGグループによる、タイおよび周辺国のセメント工場排ガスからのCO2分離回収・利用(CCU)技術の導入に向けた実現可能性調査の実施だ。
このうちJERAは同日、EGCOとの協業について、EGCOの脱炭素化に向け、①EGCOが出資参画する石炭火力発電所における混焼の実現可能性 ②水素・アンモニアの活用を通じたカーボンニュートラルのロードマップの策定 ③タイ国内における水素・アンモニアサプライチェーンの構築 ④タイ国内におけるCCUS機械の模索-を検討すると発表した。
一方、日鉄エンジニアリングも同日、SCGセメントとザ・サイアム・セメント(KAENG KHOI)との協業について、「SCGが保有するセメント工場に当社が開発した省エネ型CO2回収技術ESCAPを導入し、排ガスから分離回収したCO2から、メタネーション装置で合成メタンを製造し、セメント工場内で石炭燃料の代替エネルギーとして利用するCCUモデルを想定している」と説明。タイのセメント産業でESCAPによるCO2分離回収技術の有効性の実証とCCUビジネスモデルの検証を進め、国内外でのCCU普及につなげ、持続可能なカーボンニュ―トラル社会の実現に貢献していくとアピールした。
クルンタイ銀行の調査会社クルンタイ・コンパスは1月10日、2023年のタイの経済成長率は観光部門の回復を受けて3.4%となり、昨年の3.2%を上回るとの予測を明らかにした。今年の外国人旅行者数については2250万人と、2022年の1020万人から倍以上に増加すると予想。また、タイが直面している課題については、①低炭素社会への転換 ②世界経済の減速 ③観光産業の回復 ④金利上昇 ⑤コスト上昇を挙げた。
クルンタイ・コンパスはまた、昨年12月19日のリポートで、タイの平均電気料金が2021年の1ユニット(1キロワットの電力を1時間消費した電力量)当たり3.60バーツから、2022年は過去最高の4.16バーツに大幅上昇したと報告した。主にロシア・ウクライナ紛争に伴う天然ガス価格の高騰が原因。さらに、2024年まで電気料金の高水準が続き、製造業全体の純利益率は平均電気料金が1%上昇するごとに0.03%低下するとの見通しを示した。
1月6日付バンコク・ポスト紙によると、タイ保健省は、外国人旅行者がタイ国内で大麻の一種、カンナビスを利用する際のガイドライン「タイでのカンナビスについて観光客が知っておく必要のある10のこと」を公表した。タイはアジアで初めてカンナビス利用を合法化した国で、旅行者の間でもカンナビスへの関心が急増している。しかし、カンナビスやヘンプを管理する法律の成立が遅れていることから、特に若者の間での乱用が懸念されている。
TJRI編集部
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