日タイ・エネルギー政策対話

日タイ・エネルギー政策対話

公開日 2022.10.26

日タイ両国政府は20日、タイのカーボンニュートラル目標の達成に向けて、両国企業の協力を促す「日タイ・エネルギー政策対話(JTEPD)ビジネスフォーラム」をバンコクで開催した。日本が昨年打ち出した「アジア・エネルギー・トランジション・イニシアティブ(AETI)」の取り組みのうち、具体的なビジネスマッチングを実施するのはタイが初めてで、日タイのエネルギー関係企業20社近くがプレゼンテーションを行った。

開会あいさつではまずタイ・エネルギー省のクリット次官が登壇。「タイは、CO2排出を削減する一方で、エネルギー安全保障にも焦点を合わせている」とした上で、日本が提唱している「アジアゼロエミッション共同体(AZEC)」にも他のアジア諸国とともにタイも積極的に協力していくと強調。移行期にあるエネルギー分野からのCO2排出を削減するために、CO2の吸収、貯蔵が重要であり、将来日本と協力するチャンスがある、水素やアンモニアなどの未来のエネルギープロジェクトへの投資を訴えた。

続いて登壇した日本の経済産業省・資源エネルギー庁長官官房の早田豪・国際資源エネルギー戦略調整官は、タイ・エネルギー省の国家エネルギー計画2022(NEP2022)の立案・検討に関し、「日本のグリーン成長(GX)戦略の策定プロセスにおけるこれまでの知見を共有し、カーボンニュートラル実現のための重要技術分野の工程表への情報提供を行ってきた」と報告。このフォーラムをきっかけに、カーボンニュートラル、エネルギー・トランジションにおける具体的な日タイ協力案件が創出されることへの期待を表明した。また、今年12月には両省による「政策対話の開催」を予定していることを明らかにした。


20日付バンコク・ポスト紙(1面)によると、タイ保健省は今年に入って大麻の一種カンナビスを使った治療を行うクリニックが1000カ所以上オープンしたことを明らかにした。同省報道官によると、今年オープンした1026カ所の同クリニックのうち929カ所は保健省が直接運営しており、残りは民間病院によるものという。また、今年これまでにカンナビス治療を受けた患者数は前年同期比142%増加。東部プラチンブリ県のチャオプラヤ・アパイプーベート病院は2019年6月にタイの病院で初めてカンナビス治療を始めたが、現在も通院患者は2000人以上おり、全国でのこうした患者は1万人を超えるという。

カンナビス関係でもう1本。21日付バンコク・ポスト紙(2面)によると、タイ保健省医療サービス局(DMS)は、カンナビスから抽出したカンナビジオール(CBD)が、覚せい剤の一種メタンフェタミン(methamphetamine)中毒からの離脱症状の緩和に効果があることが分かったことを明らかにした。DMSの幹部よると、視神経や脊髄にダメージを与える脱髄疾患などの病気治療にCBDが効果があるとの研究結果が示されたという。


英エコノミスト誌10月15日号はアジア面で、10月6日に東北部ノンブアランプー県の保育所で発生した元警官による銃乱射事件を取り上げている。タイトルは、「虐殺の後の狂気」で、副題で「大量殺戮の後、タイ政府はドラッグとの戦いを宣言した。この政策は新たな虐殺を防げないだろう」としている。同記事によると、犯人が警察を免職される原因となった違法所持薬物はメタンフェタミンとカフェインを混ぜた「Yaba」と呼ばれる薬物だったという。

その上で同記事は「タイでの麻薬中毒との戦いは理論的には理解できる」とし、以前タイで人気だったアヘンの代わりにミャンマーから流入したYabaが1990年代にパーティーなどで人気になったと説明。その背景には1錠当たり20バーツという価格の安さがあったという。そして、タイ政府による最近の大麻(カンナビス)栽培解禁にも言及、バンコクが「アジアのアムステルダム」と命名されたものの、これ以外の薬物は自由化には程遠いとし、2003年にタクシン元首相のイニシアティブで始まり、多数の無実の犠牲者を出した「麻薬一掃作戦」について触れ、それでもいまだにYabaはどこにでもあると皮肉っている。

TJRI編集部

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