「メード・イン・ベトナム」、アジア共通通貨

「メード・イン・ベトナム」、アジア共通通貨

公開日 2022.10.04

英誌エコノミスト9月22日号は、アジア面で「Chain Reaction」というタイトルでベトナム経済を取り上げている。同記事はベトナム北部バクニン省にある電子製品向けプラスチック部品工場の社長が、ブラジルに出荷されるサムスン製携帯電話用の充電器を誇らしげに手に取っている姿と、背景にポルトガル語で「メード・イン・ベトナム」と書かれたエッチングがある光景を描写することから書き始めている。

同記事は、ベトナム共産党政府が1980年代から市場開放、民間企業育成を初めて以来。さまざまな言語で、「メード・イン・ベトナム」と書かれた製品が出回るようになったとし、2000年以後、ベトナムの国内総生産(GDP)伸び率は平均6.2%となり、中国を除くいかなるアジア諸国を上回っていると指摘した。そしてナイキやアディダスのアパレルメーカーに始まり、より高いスキルが必要で高賃金の雇用を生む電子製品メーカーの外国企業の参入ラッシュにつながっていると強調。ベトナムの輸出に占める電子製品の比率は2010年には14%だったが、2020年には38%まで上昇していると報告した。

さらに、米中貿易紛争、世界の大国間の地政学的な緊張の高まり、中国の厳しい新型コロナウイルス対策と賃金上昇などで、多くの大企業が中国からベトナムに工場をシフトさせるようになったのは容易に理解できると指摘。米アップルへの最大のサプライヤーである台湾の鴻海科技集団(フォックスコン)がベトナムに大型工場を建設中で、デルやヒューレット・パッカード(HP)、グーグル、マイクロソフトなど他の大企業も生産拠点を中国からベトナムに移しつつあると説明した。

そして中国の労働力が高齢化し、縮小に向かう中でも、ベトナムの労働者は若くて活力があり、また政府は多くの自由貿易協定(FTA)を結んでおり、コロナ対策でも3月に市場開放するなど企業にとってメリットは多いと強調。さらにインフラ投資では海岸線の道路を拡張しつつあり、中国の深圳まで車で12時間の距離という地理的優位性もあるとした。

その一方で、サプライチェーンの拡充がベトナムの課題で、外国企業はベトナム国内での部品調達を増やしたいものの、難しいと指摘。冒頭のプラスチック部品工場もベトナム製原材料はサムスンの品質基準を満たさないため、プラスチック成型機械は韓国から、プラスチックレジンは中国から輸入しているという。さらに、労働者は豊富だが、有能な管理職やスキルのある技術者は少なく、政府は大学や職業訓練プログラムを強化する必要があると分析。もしベトナムが中国と同じぐらい豊かになるとしたら、単にインフラだけではなく、人々にも投資する必要があると締めくくっている。


29日付バンコク・ポスト(ビジネス2面)は、香港を拠点とするコングロマリット、QIグループの創設者ビジャイ・エスワラン氏による東南アジア諸国連合(ASEAN)共通通貨に関する論考を掲載している。同論考は1997年のアジア金融危機後にマレーシアのマハティール首相(当時)が共通通貨のアイデアを提唱したことに言及した上で、ASEAN共通通貨を推奨する理由について、欧州連合(EU)が23年前に導入したユーロが、欧州の安定、競争力、繁栄に貢献しており、物価の安定、そして為替レートの変動から加盟国を守る役割を果たしているためだと説明した。同論考は、アジア共通通貨のメリット、課題などを整理した上で、ASEANの成長と発展は共通通貨とともに加速される可能性があり、金融の安定性向上、世界経済に寄与とすると結論付けている。

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TJRI編集部

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