健康とおいしさを両立、日本との連携も推進 〜タイ食品大手CPFのプラシットCEOインタビュー〜

健康とおいしさを両立、日本との連携も推進 〜タイ食品大手CPFのプラシットCEOインタビュー〜

公開日 2023.09.26

動物飼料から畜産品、食肉加工品や調理食品まで幅広い製品を生産・販売するタイの大手農業・食品会社であるチャロン・ポカパン・フーズ(CPF)は、世界17ヵ国でビジネスを展開し、40ヵ国以上に製品を輸出している。タイ食品業界のリーダーとして、タイ人の食のトレンドやタイにおける日本食品のチャンス、そしてサステナビリティー事業をどう考えているかなどをCPFのプラシット・ブンドゥアンプラサート(Prasit Boondoungprasert)最高経営責任者(CEO)に聞いた。

(インタビューは7月31日、聞き手:mediator ガンタトーンCEOとTJRI編集部)

タイ食品大手CPFのプラシットCEOインタビュー01
CPFプラシットCEO(左)、mediator ガンタトーンCEO(右)

食品の「栄養」、「健康的」、「新鮮」、そして「安全性」とは

Q. タイ人の食のトレンドは

プラシットCEO:トレンドはライフスタイルと「商品」に分けられる。ライフスタイルでは「利便性」が最も大事だ。消費者は自宅近くの店舗で商品を購入し、オンラインでも注文するようになっている。「商品」では、消費者は「健康に良い食品」を求める傾向が強まっている。健康に良い食品には「栄養(Nutrition)」、「健康的(Healthy)」、「新鮮(Freshness)」、「安全性(Safety)」という4つの重要な要素が含まれている。

Q. 食トレンドに対応する商品の開発戦略は

プラシットCEO:CPFは消費者の健康に配慮し、おいしさにもこだわりながら食品を開発している。具体例としては、「プロバイオティクス(人体に良い影響を与える微生物)」を使用した養鶏を開発した。鶏が病気にならず健康であるように、12万5000種類以上の中から厳選したプロバイオティクスを飼料に配合し、鶏の免疫力を高めることで、抗生物質を使用せずに安全でおいしい鶏肉を生産することができるようになった。この開発は、食品安全基準を強化する「Thai food – Mission to Space」というキャンペーンにつながり、CPFの鶏肉は既に厳格な米国航空宇宙局(NASA)の宇宙食安全基準も満たしている。

また、肉のおいしさを向上させるために、このプロバイオティクス配合の飼料をさらに改良した。具体的には日本のパートナーからのアイデアを応用し、飼料の原料をトウモロコシから玄米に変更した。その結果、鶏肉はよりおいしくなった。この技術は、豚肉分野でも取り入れ、飼料と品種の改良を行った結果、豚肉の脂身の栄養成分がより高まった。これらの鶏肉と豚肉は「U Farm」というブランドで販売している。

CPFの商品例
CPFの食品小売商品のサンプル

産卵鶏の糞尿から発生するバイオガスを水素ガスに変換するプロジェクトをトヨタ自動車と開始

Q. CPFのサステナビリティー活動について教えてください

プラシットCEO:CPFは創業以来サステナビリティーを重視しており、20~30年前からその活動を行っている。現在、当社では国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」のうちの7項目に特に焦点を合わせており、事業戦略に盛り込んでいる。例えば、17ヵ国で事業を展開する中で、各国の食料安全保障に取り組んでいる。人権では国際労働基準に適合し従業員の雇用環境を整備している。さらに、水資源の保全では水を再利用することで、鶏を飼育する過程での水使用量を通常より約45%削減している。また、タイの全工場で使用されるエネルギーの30%は再生可能エネルギーで、2022年からタイとベトナムで石炭使用を停止した。

Q. トヨタ自動車とのバイオガスによる水素製造での協業は

プラシットCEO:CPFはすでに畜産廃棄物から生成されるバイオガスを発電に活用している。トヨタ自動車は水素製造プロジェクトを推進しており、さまざまな水素エネルギー源を探していた。そこで、当社とトヨタは、産卵鶏の糞尿から発生するバイオガスを水素ガスに変換するパイロット・プロジェクトを始めた。現在は、最も効率的な水素の貯蔵プロセスや輸出方法を模索している。産卵鶏以外でも養豚や肉用鶏の糞尿の利用にも可能性があると考えている。このプロジェクトは「健康にも環境にも良い食品を生産する」というCPFのビジョンに沿ったものだ。

タイ食品大手CPFのプラシットCEOインタビュー03

Q. CPFの工場の現在の電源構成は

プラシットCEO:現在、全国112ヵ所のCPF工場で使用される電源の30%が再生可能エネルギーで、その原料の68%が農業残さなどのバイオマス、30%がバイオガス、2%が太陽光だ。水素エネルギーの方が、効率が良いことが確認されれば、今後は水素エネルギーも利用していくだろう。将来は、水素エネルギーのコスト効率をより良くする新技術が生まれてくると信じている。

スタートアップを含め広範囲の日本企業と連携

Q. 日本企業との協業について教えてください

プラシットCEO:広範囲の日本企業と協力関係を持っており、生産工程では日本製の工場設備を導入しており、加工食品では日本の調味料も使用している。合弁事業では、34年以上の歴史を持つ「明治」との合弁企業「CPメイジ」がある。また、今年末には「魚力」との合弁で、タイに寿司店をオープンする計画だ。さらに現在、日本からの食品や食材を輸入し、タイで販売するビッグプロジェクトを推進している。将来的にはシンガポールや韓国、スカンジナビア諸国といった海外のネットワークを通じて販売する計画もある。

タイ食品大手CPFのプラシットCEOインタビュー02

Q. 日本のスタートアップ企業との協力関係もあるか

プラシットCEO:CPグループは、日本のスタートアップ企業のピッチイベント(ロック・タイランド)を支援している。CPFは、新しい技術やイノベーションを見つけるために、日本をはじめ、世界中のスタートアップ企業との連携に取り組む専門チームを持っている。

Q. 日本政府は日本産食品の海外輸出を推進している。タイの食品業界のリーダーとして、日本の食品業界にはどんなチャンスがあると考えているか

プラシットCEO:日本の食品や食材にはポテンシャルがあり、タイでもまだ多くのチャンスがある。特に、タイ人が知らない、食べたことのない料理や食材を紹介することには大きな可能性がある。日本食はタイ人にとても人気があるが、タイ人が知っている日本料理はまだ限られている。日本には素晴らしい食文化と高品質の食品がある。

TJRI編集部

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