給油所大手PTGエナジーグループがパートナー募集 ~非石油事業を拡大、EV関連、パーム油関連ビジネスなど~

給油所大手PTGエナジーグループがパートナー募集 ~非石油事業を拡大、EV関連、パーム油関連ビジネスなど~

公開日 2023.09.05

TJRI(タイ日投資リサーチ)では7月19日、タイ企業のニーズを日本企業向けに発信するオンライン説明会『Open Innovation Talk』の第17回として、タイ全国2200店舗以上のサービスステーション(ガソリンスタンド)を運営している給油所大手PTGエナジーと、パーム油やバイオディーゼルなどの製造子会社PPPグリーン・コンプレックス(PPPGC)に登壇いただいた。PTGエナジーのランサン・プアンプラーン副社長とPPPGCのチャイタット・ワンチャイ社長が事業概要、今後の石油事業と非石油事業の展望、日本企業との協業の方向性などについて語った。

LPGスタンド数は1位、給油所シェア2位

Q. PTGエナジーの事業概要は

石油事業の概要 - 給油所大手PTGエナジーグループがパートナー募集
「石油事業の概要」出所:PTG

ランサン氏:PTGエナジーは、1988年に設立され、タイ南部で石油の卸売業から始め、2013年にタイ証券取引所(SET)に上場した。2015年にパーム油事業に進出し、パーム油やバイオディーゼルなどを製造するPPPグリーン・コンプレックス(PPPGC)を設立した。現在は液化石油ガス(LPG)スタンドや、「Maxnitron」という自動車潤滑油ブランド、「Meesuk」という食用パーム油ブランドなどさまざまな非石油事業も行っている。PTGのガソリンスタンドはサービスステーションと呼んでおり、給油サービスだけでなく、他の製品・サービスもある。

石油小売市場の売上高ランキングでは国営タイ石油会社(PTT)に次ぐ2位、LPGスタンド数のランキングでは1位だ。2023年第1四半期時点で、タイ全国に2160か所のサービスステーションを持っている。昔のガソリンスタンドの多くはブランド化されていなかったため、フランチャイズオーナーが運営している店舗を自社で所有して運営するのが会社の戦略で、少ない資金で事業を拡大してきた。

また、われわれはポイントと割引特典を提供する「PT Max Card 」という会員制度を展開しており、顧客情報を分析してより良いサービスを提供、新規事業の展開に利用できるようになった。また昨年、「MAX ME」というeウォレット(電子財布)や、ポイントを確認でき、提携先の商品を購入できる顧客向けアプリケーションを展開している。われわれのグループは毎年成長を続けており、タイに広い顧客基盤を築いてきた。

Q. 今後の石油事業の目標は

ランサン氏:今後5年間で次の3つの目標を掲げている。①石油販売市場における市場シェアを現在の19.2%から25%まで拡大する②現在2100万人の「PT Max Card」会員を3000万人以上に拡大する③「Punthai Coffee」というコーヒー店の店舗数を5000以上に拡大する。さらに、サービスステーションを毎年に継続的に拡大し、従業員数を増やしサービスを向上させ、トラック運転手向けの休憩所「Max Camp」拡大する計画だ。

非石油事業を総利益の50%以上に

Q. 非石油事業など事業多角化の計画は

非石油事業ロードマップ - 給油所大手PTGエナジーグループがパートナー募集
「非石油事業ロードマップ」出所:PTG

ランサン氏:石油販売は政府の規制が厳しいため、われわれは非石油部門での事業多角化に取り組み、パートナーと共創していきたい。2027年に非石油事業が総利益の50%以上になることを目標としており、パートナーとの協業や提携を歓迎している。例えば、食品・飲料、データプラットフォーム、物流、 健康とウェルネス、再生可能エネルギーなどの分野だ。

これまでもさまざまな企業と連携してきた。例えば、日本の自動車用品販売・および整備サービス大手の「オートバックス」との合弁で、タイで自動車修理・メンテナンスサービスを展開している。そして、タイ発電公社(EGAT)と提携し、タイの主要なルートのサービスステーションで35カ所以上のEV急速充電装置を設置した。そして、「Punthai Coffee」「Coffee World」というコーヒー店をさらに展開していく。また、「Max venture」というベンチャー子会社では健康とウェルネスのデジタルプラットフォーム、ライフスタイル、食品飲料、物流などの新興企業に投資している。

川上から川下までの「コンプレックス」工場

Q. PPPGCの事業概要は

下流ビジネスへの展望 - 給油所大手PTGエナジーグループがパートナー募集
「川下ビジネスへの展望」出所:PTG

チャイタット氏:PPPグリーン・コンプレックス(PPPGC)の工場は川上から川下までを一貫している。われわれの特徴は原材料の調達における好立地と良いインフラがあることだ。工場内では、パーム油工場、バイオディーゼル工場、グリセリン工場、植物油工場、油を保管するタンクファームがある。さらに、7メガワット(MW)の自家発電所を持ち工場で使用する電気を100%自給している。そして、生産工程で発生する廃棄物は再利用、販売し、循環型で廃棄物を発生しないシステムを構築している。主な顧客は石油精製、バイオディーゼル産業、油脂化学産業、食品産業などだ。

PPPGCは川中・川下事業の展開を目指す

Q. 今後、事業展開の計画は

チャイタット氏:PPPGCは川中や川下の事業を目指し、事業を展開する場所と体制を準備している。われわれは川上事業に強みがあり、この強みを活かし、事業を展開していきたい。このため、川中や川下に強い日本企業であれば、ぜひパートナーになって欲しい。さらに、合弁事業、共同研究、顧客、または友人的なパートナーも歓迎する。

Q. どんな事業で日本企業の協力を求めているか

1) PTGにおける非石油事業

・飲食業

・小売業

・カーシェアリングやリースなどのモビリティサービス

・健康、ウェルネス、レクリエーションサービス

・旅行サービス

2) EVに関連するサービス

・コスト効率の高い高速充電技術

・ワイヤレス充電や自動化された充電ロボットなどの新規EV充電技術

・太陽光パネルと連携したEVバッテリー充電システム

・バッテリー交換サービス

3)PPPGCにおける事業展開

・植物油事業の拡大と川下への事業展開

・川下事業で油脂化学産業への脂肪酸、化粧品、食品、飼料、医薬品、潤滑油などの事業展開

・廃油をグリーンディーゼルや持続可能な航空燃料(SAF)に活用

TJRI編集部

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