SCGの子会社Nexter Livingがパートナー募集 〜在宅医療技術やシステムなど〜

SCGの子会社Nexter Livingがパートナー募集 〜在宅医療技術やシステムなど〜

公開日 2023.02.21

TJRI(タイ日投資リサーチ)では1月26日、タイ企業のニーズを日本企業向けに発信するオンライン説明会『Open Innovation Talk』の第14回として、ASEAN最大級のコングロマリットであるサイアムセメントグループ(SCG)の子会社「Nexter Living(ネクスター・リビング)」に登壇していただいた。同社のヘルス&ウェルネス担当ディレクターのPimchanok Worawattananon(ピムチャノック・ウォラワッタナノン)氏が、事業概要日本企業との協業の方向性などについて説明した。

技術で生活の質を向上させる

Q. ネクスター・リビングの事業概要は

ネクスター・リビングは、SCGグループでセメント製品や生コンクリートなどの建材の製造・販売、各種住宅ソリューション事業を行っている「SCG-CBM部門」傘下企業として2007年に設立され、生活の質の向上や快適な暮らしを実現する技術・製品を提供している。自社のみでの展開だけではなく、オープンイノベーションで国内外のパートナー企業と提携した事業にも取り組んでいる。

現在、ネクスター・リビングが展開している主な事業は、①建物や施設に技術を搭載してスマート化するSmart Building Solution ②セキスイハイムとの合弁によるプレハブのBuilding Prefabrication ③技術を活用して生活の質を向上させるHealthy Living-の3つであり、現在、Healthy Living事業でパートナーを募集している。

『Nexter Livingの事業概要』出所:Nexter Living Co., Ltd.

Q. Healthy Livingの具体的な事業内容は

Healthy Livingは、高齢者や自宅療養中の患者の生活の質を向上させるために、家庭内で技術を応用する事業で、具体的には、以下の5つの技術が対象だ。

(1)Hygiene Technology
室内空気の改善や、微小粒子状物質「PM 2.5」をフィルターに掛け、イオン化して殺菌するなど空気の浄化

(2)Safety Technology
転倒検知センサーやワイヤレス緊急ボタン、救急サービスの提供

(3)Sleep Technology
睡眠の質の計測、睡眠時無呼吸症候群の検査

(4)Personalized Fitness Technology
フィットネス・トラッキングや遠隔リハビリテーション、テレコーチなどを利用した個人に合わせた健康向上活動の支援

(5)Health Care
持病がある人を対象とした、個人健康記録(Personal Health Record)、IoMT(Internet of Medical Things)を活用した血圧数や血糖値などのバイタルサインの記録、遠隔医療(Telemedicine)、薬宅配サービスなどの提供

在宅で健康向上

Q. 『Do Care』とは

『Do Care』は、ネクスタ―・リビングのソリューションブランドで、スマートホームとスマートヘルスを繋ぐプラットフォームだ。タイ語の『ดูแล(Doo Lae=面倒を見る)』と英語の『Care』を掛け合わせた。家を起点に健康になる「Home as a point of care」というコンセプトの下で、居住者の健康や安全を支えるための以下のような3つの技術を提供している。

『Do Careのコンセプト』出所:Nexter Living Co., Ltd.

(1)Healthy Technology
血圧数や血糖値、血中酸素などのバイタルサイン、心電図、ストレスなどの健康状態を記録する技術

(2)Safety Technology
在宅および外出時の転倒検知センサーやワイヤレス緊急ボタン

(3)Activity Technology
①活動時間やお手洗い使用などの家庭内のアクティビティの記録
②睡眠の質の計測や睡眠時無呼吸症候群の検査などの技術

『Do Careが提供している技術』出所:Nexter Living Co., Ltd.

Q. Do Careの仕組みは

身体装着型や家庭内設置型のIoTデバイスを通じて、センサーで検知して収集したデータは、Do Careプラットフォームで処理され、提携している病院やウェルネスセンターなどの医療サービス提供者に送られる。病院訪問時や遠隔医療、ウェルネスセンターで予防・医療サービスを受けに行った時に、そのデータに基づき診断する。健康な人の場合は、適切な運動やヘルスコーチング、健康状態を維持するための知識などによる健康管理支援ができる。また、LINEを利用している高齢者も多いため、LINE公式アカウントを通じて、End-to-Endでの健康状態やデータなどの通知サービスを提供している。

『Do Careの仕組み』出所:Nexter Living Co., Ltd.

Q. Do Careの現状は

このサービスは現在、高齢者と持病のある人を対象に商業ベースで展開している。ただ、まだ初期段階であり、数千人規模だ。

Q. 親族が多世代で同居する場合、高齢者や患者のみのデータをどのような方法で収集するか

タイ人の高齢者は親戚を含め多世代が一緒に暮らす複合家族が多い。このため、一般的なモーションセンサーを使用した場合に、情報が不正確になる可能性があるので、個々人を識別できるセンサーが必要になる。現在、身体装着型のデバイスや顔認証システムを利用しており、今後も新技術を活用していきたいと考えている。

在宅医療イノベーション事業のパートナー求める

Q. どんな事業分野で日本企業の協力を求めているか

(1)家庭用IoT医療機器に関する事業パートナー
家庭用医療機器、IoT(モノのインターネット)接続機器、高齢者や自宅療養中の患者の健康状態を常に監視できるクラウドプラットフォーム接続の測定デバイス。

・バイタルサインモニタリング
  - 心拍数、血圧、体温、血糖値、血中酸素濃度のバイタルサイン監視装置またはシステム
・持続血糖モニター、持続マルチリード「ECGパッチ(心電図検査の電極)」
  - 持続血糖モニタリング装置またはシステム、ポケットサイズの連続測定が可能なマルチリード心電図モニター
・家庭用化学診断キット
  - 自宅でできる診断検査キット

(2)在宅リハビリ支援システムの事業パートナー

・筋骨格系(MSK:Musculoskeletal)リハビリテーションのためのデジタルプラットフォーム
  - オフィス症候群を解決するMSK疾患のリハビリテーション
・脳卒中後のリハビリテーション
・手術後のリハビリテーション
・健康管理

(3)脳の健康状態のモニタリング及び維持システムの事業パートナー
脳の健康状態監視・維持システム(脳の状態をチェックし、脳が正常な機能を維持するためのシステム)

・MCI、認知症、アルツハイマーのバイオマーカーを使った早期発見
  - 軽度認知障害(MIC: Mild Cognitive Impairment)などの脳の異常を認知症、アルツハイマーとなる前の早期発見を支援するシステム
・脳の健康維持:脳の機能を正常な状態に維持するシステム

TJRI編集部

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