政府インフラ投資計画、そしてタイ中国高速鉄道

政府インフラ投資計画、そしてタイ中国高速鉄道

公開日 2023.01.24

1月16日付バンコク・ポスト紙はビジネス3面でタイ政府の今年のインフラ投資計画の特集を組んでいる。同記事はまず、「主要インフラプロジェクトでの政府の投資計画加速により、2023年の経済成長率は3~4%になるだろう」とのアーコム財務相の予測を紹介した。一方、同省財政政策局(FPO)のポーンチャイ局長によると、2023年度の政府機関の投資予算の総額は6640億バーツに設定しており、これは国家予算総額の20.9%に相当するという。このうち最も予算が大きいのは国道建設の1130億バーツ、続いて王立灌漑局の706億バーツ、地方道建設の456億バーツ、河川堤防の建設などの公共事業・都市計画の333億バーツなどと続いている。

また国営企業43社は2023年度の投資予算計画を総額で2820億バーツ、予算執行目標を95%に設定している。このうちタイ国鉄(SRT)の投資予算は492億バーツで、このほかタイ発電公社(EGAT)が315億バーツ、タイ大量高速輸送公社(MRTA)が142億バーツ、国営タイ空港会社(AOT)が120億バーツ、タイ高速道路公社(EXAT)が112億バーツの投資を予定している。


1月5日付バンコク・ポスト紙(3面)によると、タイ運輸相鉄道輸送局(DRT)は、中国雲南省昆明からラオス・ビエンチャンを結ぶラオス中国鉄道とつなげる計画もある、タイのノンカイとバンコク間の609キロを結ぶタイ中国高速鉄道計画について、第1フェーズで学んだ教訓により、第2フェーズはよりスムーズで迅速な事業推進ができるだろうとの見通しを示した。DRTのピチット局長はインタビューで、同鉄道計画のうち、バンコクとナコンラチャシマ間の253キロを標準軌で結ぶ第1フェーズ(投資額1794億バーツ)は若干の建設作業の遅れはあるものの、当初計画通り2026年に開業できるだろうと説明した。

このタイ中国高速鉄道計画では2014年12月19日に両国が覚書(MOU)を締結。2017年12月21日に第1フェーズの建設作業が始まった。同局長によると、第1フェーズの13件の建設契約のうち10件は実行されており、残り3件も近く契約調印の見込みだという。同局長は、「タイでは高速鉄道プロジェクトは全く初めてであり、プロジェクトの設計、建設管理を中国に頼っている」とした上で、「中国が、基礎知識から高速鉄道を運営・修理する方法まですべてのノウハウをわれわれに伝えることを期待している」と述べた。

サラブリ-ナコンラチャシマ間での高速鉄道の高架建設 = 2022年12月撮影

筆者も昨年末にブリラムに鉄道で訪問した際に、同計画の第1フェーズ内のサラブリ-ナコンラチャシマ間などで既存路線の隣に高速鉄道用と思われる高架の建設が予想外に進んでいる様子を確認できた。また、この高速鉄道以外でも、例えばバンコクからホアヒン方面の鉄道路線では複線化の作業と思われる新しい線路の敷設や新駅舎の建設が行われていることに気付く。タイではこうした新たなプロジェクトは必ずと言っていいほど当初計画からの遅れが伝えられるが、よく言われる「遅々として進む」という表現が正しいのかもしれない。


1月20日付バンコク・ポスト(ビジネス3面)によると、国営タイ石油会社(PTT)傘下で給油所などを展開するPTTORは2030までに電気自動車(EV)の充電装置の設置数を7000カ所までに拡大し、タイ国内では最大のEV充電サービスプロバイダーを目指すという。この計画はPTTORの新最高経営責任者(CEO)に就任したディサタット氏が19日の記者会見で明らかにした。同社のEV充電装置設置数は現在139カ所にとどまっている。


1月16日付バンコク・ポストは、1面のスペシャル・リポートで、新党・タイ団結国家建設党(UTN)に参加し、5月7日に実施予定の次期総選挙で3期目を目指す意向を表明したプラユット首相を特集している。同記事はまず、プラユット首相は約8年も首相を続けながらも、政治家としての覚悟が不足し、政治に消極的姿勢だったように見られていたと指摘。しかし、新党への参加により、「フルタイムの政治家としてのマントを身にまとった」とし、総選挙に向けて党の結束という大きな課題に取り組むようだと評している。

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TJRI編集部

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