[Event] APEC首脳会議へ5つの緊急提言 – 民間諮問団体 〜 域内経済統合、デジタルインフラ、BCGモデルなど 〜

[Event] APEC首脳会議へ5つの緊急提言 – 民間諮問団体 〜 域内経済統合、デジタルインフラ、BCGモデルなど 〜

2022.08.23 Events

アジア太平洋経済協力会議(APEC)の民間諮問団体であるAPECビジネス諮問委員会(ABAC)は8月4日の記者会見で、今年11月にタイ・バンコクで開催予定のAPEC首脳会議に対し「アジア太平洋自由貿易圏」(FTAAP)の実現などの5項目の緊急提言をすると発表した。7月26~29日にベトナム・ハロンで開催されたABACの第3回会合での議論を踏まえたという。

ABAC2022のクリアンクライ議長 = 8月4日、バンコク

5項目の提言は「APEC地域の経済回復を加速させ、持続的で包括的、レジリエントな長期的成長の勢いを取り戻す」という目標を反映したもので、5つの作業グループが提言を準備した。ABAC2022のクリアンクライ議長(タイ工業連盟会長)は「各作業グループはAPEC加盟国に対し、グローバルなルールに基づく貿易システムの支持とFTAAPの実現を加速することで、域内の経済統合を深化させるよう要請した。われわれはAPECが特に女性経営者や地域企業家による零細・中小企業(MSMEs)の支援強化とデジタルの基盤インフラの導入を通じた回復と成長に向けた環境を醸成することを望んでいる」と強調した。
ABACが合意した5項目の緊急提言は以下の通り。

(1)域内経済統合 = FTAAPへの道とサービス分野での貿易の確立
ABACは、進化し変化する世界のビジネス環境にFTAAPが対応するだろうと確信している。アジェンダを実現まで見届けることが望まれる。イノベーションがこの地域、特にサービス分野の成長の重要な原動力だ。そしてAPECは、官民パートナーシップを通じて電子商取引、ロジスティクス、医療、環境サービスなどを支援するためのデジタル・サービス・イノベーションを促進することができる。

(2)デジタル = サイバーセキュリティのための基礎的なデジタルインフラの開発
統合されたサイバーセキュリティーシステムは、基礎となるデジタルインフラとイノベーションの進展と保護に重要だ。ABACはAPECに対し、連携の取り組みと共同投資を支援するための地域サイバーセキュリティー・プラットフォームを構築するよう要請する。

(3)MSMEと包括性 = MSMEのための持続可能な実践の促進
MSMEsは世界経済の原動力だ。グローバルな枠組みと貿易の下での政策展開は、成長を加速させるのに役立つ。政策には、資金へのアクセス、継続的なトレーニング、サプライチェーンの統合、世界共通の措置の遂行などが含まれるべきだ。

(4)持続可能性 = 持続可能でレジリエントな食料システムの支援
域内の生産者と消費者は、世界的な食料価格の上昇と農業サプライチェーンの混乱により大きな試練に直面している。ABACは、域内の食料システムの生産性と効率性を向上させる最新技術や、バイオ・循環・グリーン(BCG)経済モデルの採用により、「2030年に向けた食料安全保障ロードマップ」の実行を推進している。

(5)金融と経済 = 回復を加速するためのマクロ経済・金融対策の実行と、生産性と成長を高めるためのインフラ改革
ABACは、インフレ抑制と賃金と物価を連動させるための政策の重要性を認識した。長期的には、政府はデジタル化と包括的な持続可能性に向けた構造改革を支援するために、金融の潜在力を高め、金融ツールを活用するという2つの目標を達成する必要がある。

APEC CEOサミット2022の議長 ポット・アラムワッタナノン博士 = 8月4日、バンコク

ABACタイのメンバーでAPEC CEOサミット2022議長を務めるポット・アラムワッタナノン博士は、テクノロジーとBCGを採用した食料安全保障と持続可能性への注目度の高さについて、「ABACは、今後重要性を増すAPECの食料安全保障政策に民間企業が参加できるように、貿易促進、輸出禁止・制限の抑止、食料エコシステムに関わるすべてのセクターの国境を越えた協業に2倍の努力をするよう求める」と述べた。

同氏はまた、今後5年以内に世界のトレンドになる可能性のある昆虫食を含む「未来食品」に関して、ABACはAPEC首脳会議に対し、①原料・輸送コスト削減のため、域内原料の利用を促進 ②未来食品のための基準を策定するとともに、貿易障壁を減らし、企業家による新製品開発を奨励 ③未来の食品加工などでの合弁事業を推進するために、共同で生産量やコストを管理し、需給を調整する-という三つの提言を行うことを明らかにした。

一方、ABACタイのメンバーであるコブサック・ドゥアンディー氏は、デジタル化を可能にする環境を作るために、「テクノロジーがわれわれ地域の成長を促進する重要なエンジンになるだろう」と指摘。「デジタル取引のためのサイバーセキュリティー・プラットフォームやデータインフラの確立、零細・中小企業のデジタル市場とインフラ導入の支援など、イノベーションと商業化のために技術開発を促進する必要がある。この提案は、地域の民間企業の競争力とサービスレベルを向上させるために必要なものだと」述べた。

クリアンクライABAC2022議長(左)とコブサック・ドゥアンディー氏(右)= 8月4日、バンコク

そしてクリアンクライABAC2022議長は、「産業界からの声は、あらゆるレベルの経済の推進に重要な役割を果たす人々の真のニーズから出ており、域内協力の将来を形作ることができる。そして、これらの提案が今後、あらゆるセクターの将来に向けた持続可能な発展のためのガイドとなると確信している」と締めくくった。

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