タイ中銀、2年3カ月ぶり政策変更

タイ中銀、2年3カ月ぶり政策変更

公開日 2022.08.23

タイ中央銀行は8月10日に開催した金融政策委員会(MPC)で、政策金利の1日物レポ金利を0.25%引き上げ、年0.75%にすることを決めた。過去最低水準に引き下げられた2020年5月以来、2年3か月ぶりの政策変更となる。7人の委員のうち、6人が賛成し、1人は0.50%の利上げを主張した。

タイ中銀はMPC後に発表した声明で、「タイ経済は年末までに新型コロナウイルス流行前の水準を回復すると予想される」とした上で、「総合インフレ率は、しばらくは高水準を維持するだろう。MPCは新型コロナ流行に対応して実行した超緩和的な金融政策の必要性は低下しつつある。大半の委員が0.25%の利上げに賛成した」と説明。1人の委員は、今後大幅な利上げのリスクを減らすために0.5%の利上げを主張し、この利上げ幅がタイ経済に大きな影響を与えることはないだろうとの見方を示したという。また、金融情勢全般は引き続き回復力があると強調。商業銀行の資本金と貸倒引当金は高水準で、金融システムの流動性は依然豊富だが、流動性は産業分野によってばらつきがあるとしている。

11日付のバンコク・ポスト(ビジネス2面)によると、今回のタイ中銀の政策変更について、アーコム財務相は「タイの財政・金融政策は平常時に戻った」との認識を示した。同相によると、タイは新型コロナ流行の経済に対する打撃に対処するために、過去2年以上異例の財政・金融政策を採用してきたという。同相はまたタイ経済の回復状況について、一部の企業の売上高は現在、コロナ前の70~80%の水準まで回復し、自動車や電子などの産業分野の生産はフル稼働状態に戻っているとの認識を示した。ただ、ホテル業界の収入はまだコロナ前の水準を回復していないという。


16日のバンコク・ポスト(電子版)によると、東部経済回廊(EEC)開発政策委員会(委員長・プラユット首相)は15日、2023~2027年に年率5%という経済成長率を達成するための5年間のEEC投資計画を承認した。総投資額は2兆2000億バーツになる見込み。カニットEEC事務局長は、新型コロナウイルス流行やロシア・ウクライナ戦争に伴うリスクが増大しているもののEECは依然、タイでは不可欠の投資先であり、年平均の投資額は5000億バーツになるだろうとの予想を明らかにした。特にタイ政府は東南アジア諸国連合(ASEAN)で最も先進的な高速大容量規格(5G)などのインフラ整備を進めており、今後2年間で世界の大手デジタル企業がEEC地域に1000億バーツ以上の投資が期待されるとしている。

また、タイ投資委員会(BOI)は17日、今年1~6月の投資申請額が前年同期比42%減の2197億バーツだったと発表した。申請件数は4%増の784件。このうちターゲット産業への投資額は1534億バーツで、全体の70%を占めた。件数は358件だった。産業別では自動車・部品が212%増の424億バーツでトップ。電気自動車(EV)関係の投資申請が寄与した。2位はデジタル産業で、202%増の14億5000万バーツだった。


タイ証券取引所(SET)上場の電力会社Bグリム・パワーが発表した2022年第2四半期決算によると、売上高は前年同期比28%増の146億バーツになった。電気料金の引き上げや、電力販売量の増加、ラオスとタイ国内での再生可能エネルギー事業が寄与したという。しかし、火力発電所の燃料となっている天然ガス価格の高騰が響き、純損益は前年同期の15億9800万バーツの黒字から1億4700万バーツの赤字に転落した。

TJRI編集部

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