新政権はタイの所得格差を縮小できるのか ~日本の高度成長モデルから学べるもの~

新政権はタイの所得格差を縮小できるのか ~日本の高度成長モデルから学べるもの~

公開日 2023.06.07

今号で紹介した前進党を中心とする連立8党の覚書(MOU)では、前進党の公約で最も注目された不敬罪(刑法112条)の改正と、現在の上院議員の制度を廃止は盛り込まれなかった。現制度下で前進党首班の連立政権を組むためには少しでも多くの上院議員を陣営に取り込まなければならないためやむを得ない判断といえる。ただ、前進党としてはこれらの信念を堅持し続けることが有権者への責務だろう。

一方、経済政策で注目されているのは、前進党の公約に入っていた最低賃金の引き上げと、産業界が要望している電気料金の引き下げなど電力改革だ。また、アルコール飲料など全産業での独占禁止、カンナビスの麻薬リストへの再掲載と法規制導入がどうなるかも興味深い。さらに、長期的には「所得向上、格差是正、公正な経済成長確保による経済の回復」が、民主主義政権が本当に実現した時の大きなテーマとなるが、その具体策はまだほとんど見えてない。

経済団体との議論始まる

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TJRI Editor-in-Chief

増田 篤

一橋大学卒業後、時事通信社に入社し、証券部配属。徳島支局を経て、英国金融雑誌に転職。時事通信社復職後、商況部、外国経済部などを経て、2005年から4年間シカゴ特派員。その後、デジタル農業誌Agrioを創刊、4年間編集長を務める。2018年3月から21年末まで泰国時事通信社社長兼編集長としてバンコク駐在。TJRIプロジェクトに賛同し、時事通信社退職後、再び渡タイし2022年5月にmediatorに加入。

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