CPグループの経営大学、即戦力育てる ~TJRIミッションリポート~

CPグループの経営大学、即戦力育てる ~TJRIミッションリポート~

公開日 2024.01.29

TJRIは12月7日、タイと日本の協業・新規事業の創出の機会を目指す「TJRIビジネスミッション」で、パンヤピワット経営大学(PIM)を訪問した。PIMはタイ最大の財閥チャロン・ポカパン(CP)グループ傘下で、コンビニエンスストア「セブン-イレブン」を運営するCPオールが設立した経営大学だ。同大学は卒業後に即戦力として働ける人材育成に向け、現場での実務経験、企業文化の理解などの教育を徹底している。今回のミッションではCPグループの人材教育戦略を学び、PIMの職場での実践的な教育方法や民間企業との連携などに関する説明会の後、さまざまな教育施設を見学した。

セブン-イレブンの人材確保、実務経験積む

パンヤピワット経営大学(PIM)国際関係学部パニサラ次長による説明
説明会の様子

説明会ではまず、国際関係部マネージャーのパパワリン・スックハントン氏が「パンヤピワット経営大学(PIM)はCPオールが経営母体となり、2007年に設立された。PIMはもともとCPオールが『セブン-イレブン』の店舗の拡大に向けて、人材を確保するのが目的だった。われわれはWork Based Education(仕事をベースにした教育)を実践しており、学生が実務経験を積むため、3カ月間の座学、3カ月間のインターンシップを行っている。卒業後すぐに働ける即戦力の人材を育てることが目標だ。われわれはタイ大手企業とのコネクションを拡大しており、さまざまな企業がインターンシップを受け入れてくれる。その教育方法の特徴は学生が大学での勉強に加え、社会で実務経験を積むことができることだ」と説明した。

パンヤピワット経営大学が掲げるWork-based Education
「多様な職種に対応するPIMのWork-based Education」出所:PIM

また、「PIMでは11の学部と27のカリキュラムがある。就職率は99%に達し、卒業生は2万人を超えた。学部は、経営学部、食品ビジネス学部、工学部、文学部などがあり、全ての学部は1年生からインターンシップがカリキュラムに組み込まれている。また、東部経済回廊(EEC)のチョンブリ県にある『EECキャンパス』には、看護学部と物流運輸管理学部がある。学部にもよるが、4年間のうち合計1〜2年は実務経験を積める」と紹介した。

そして「PIMは世間からはセブン-イレブンの大学であり、卒業生はセブン-イレブンに就職すると見られてきた。しかし現在、学生はさまざまな企業でインターンシップをしており、より高い評価を得て、能力が認められるようになった。タイの大手企業や外資系企業などもわれわれのスポンサーとなり、卒業後に一定期間働いてもらう条件で、学生に奨学金も提供している。学生は在学中にインターンを通じて仕事を覚えるため、企業側は入社後に一から教育する必要はなくなり、即戦力を確保できるメリットがある。学生側もその会社の雰囲気や仕事のやり方などを実際に経験できるため、入社後のミスマッチが少ない」と興味深い報告をした上で、「PIMではインターン受け入れ先企業やスポンサー企業を募集している」と呼びかけた。

日本でのインターン経験で成長

パンヤピワット経営大学(PIM)の日本企業とのネットワーク
「日本企業とのネットワーク」出所:PIM

タイでは日本のように大学生がアルバイトをすることは一般的ではない。特に、肉体労働的なアルバイトは親に反対されることが多いので、在学中に就業経験を持つ学生が少ない。文学部ビジネス日本語学科のアイラダー・リブラ講師は「われわれのカリキュラムは学生に就業経験を積ませるように設計している。例えば、1年生はトゥルー・コーポレーション(CPグループの通信事業者)のコールセンターでコミュニケーションのスキルを習得し、2年生はセブンーイレブンで店舗管理に従事。3年生と4年生は日本でのインターンシップや日系企業でのインターンなどを経験できる。われわれは日本のホテルや観光施設、企業などのネットワークもあり、タイ国内のみならず日本企業でのインターン経験を積むことができる」と説明した。

また、「タイの学生として日本での就業経験は、新しい文化に触れられるほか、規律や仕事に対する姿勢を学べるため、日本から帰ってきた学生は著しい成長が見られ、最も魅力的なインターンシップ先の一つになっている。われわれはインターンを受け入れる日本企業を歓迎している」と訴えた。

航空、ホスピタリティービジネスにも対応

PIM内の航空経営学科の航空ビジネストレーニングセンター
PIM内にある航空経営学科の航空ビジネストレーニングセンター

説明会後は、大学内の教育施設の見学会に移り、最初に航空経営学科の航空ビジネストレーニングセンターを訪れた。ここでは空港のチェックインカウンターと搭乗ゲートや航空機内の客室とギャレー(飛行機内の厨房設備)を模した設備などがあり、グランドスタッフや客室乗務員の業務の訓練を受けることができる。

次に向かったのは、産業ロボットが設置された工学部のエンジニアリング・ラボで、産業ロボットの操作やプログラミングを通してロボティクスやオートメーションを学ぶことができる。続いて、ホスピタリティー業界を目指す学生のため、ホテルのレセプションや客室、レストラン、バーなどの設備があるホテル・ツーリズムラボを見学した。

また、PIMには付属中学・高校をも設置されている。ここでは、中学1年生から、高校3年生までの生徒を受け入れており、タイ教育省の基準に沿った中等教育カリキュラムを使用している。生徒が体験を通して理解を深めるという「アクティブラーニング」を重視し、楽しく学べることを大切にしているという。タイでも人材不足が顕在化しつつあり、CPグループもPIMと連携して未来を担う若手人材に先行投資している。PIMは、CPグループが求める人材教育の方針を示しており、人材戦略における選択肢の一つとなっている。

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TJRI編集部

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