中国勢、EV販売好調をアピール 〜第44回バンコク国際モーターショー〜

中国勢、EV販売好調をアピール 〜第44回バンコク国際モーターショー〜

公開日 2023.04.04

「第44回バンコク国際モーターショー」が3月22~4月2日の日程で、バンコク郊外のインパクト国際展示場で一般公開された。今回のコンセプトは、新しい旅の方法をもたらす電気自動車(EV)時代の到来など、自動車技術の無限の発展を通じてさまざまな体験を映し出す「COLORFUL EXPERIENCE」だとし、17万0960平方メートルの展示スペースに9カ国合計40以上の主要自動車・二輪車ブランドが出展した。ここでは3月21日に行われたプレスデーでの各社のプレゼンテーションを中心に紹介する。

EV市場の成長で、15~20%増が目標

同展示会を運営するGrand Prix Internationalのプラチン会長は「2023年のタイの自動車産業全体の方向性は通常の状態に戻り始めた。特に、EV市場は昨年以上の成長が見込まれる。消費者が運転や移動の方法を変える新しい運転技術について理解を深めつつあるからだ。さらに、消費者がより購入しやすくなる小売り価格を実現するための税制措置、そして国内向け、将来の輸出向けの生産支援策もある。バンコク国際モーターショーは、さまざまなEVや電動バイクを紹介することでタイの自動車産業をけん引する重要な役割を担う」と強調した。

また、同社のジャトゥロン最高執行責任者(COO)は、「来場者数、四輪車・二輪車購入予約数が前年比15~20%増が今年の目標だ」とした上で、新型コロナウイルス対策の緩和と回復し始めたタイの経済トレンド、そしてEVと電動バイク登場という前向きの材料があるため目標達成を確信していると述べた。

同COOによると、今年の展示会の会期中の来場者数は162万0459人(2022年は158万人)に達した。また、総予約台数は前年比32.5%増の4万5983台(四輪車4万2885台、二輪車3098台)で、四輪車の内訳は内燃機関(ICE)車が3万3651台(78.5%)、BEVが 9234台(21.5%)だった。

トヨタは多様なエネルギー車を披露

トヨタ自動車は、同社初のバッテリーEV(BEV)である「bZ4X」を始め、日本では既に発売されているハイブリッド車(HEV)「プリウス」の5代目となる新モデルを出展。また、今月17日にトヨタ自動車などが設立した共同出資会社「コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ」(CJPT)が開催した商用車の脱炭素化イベントでも紹介されたBEVピックアップトラックのコンセプトカー「ハイラックスREVO・BEV」、液化天然ガス(LPG)とハイブリッドの組み合わせたタクシー専用車「LPG-HEVタクシーコンセプト」も展示。さらに、内燃機関を水素燃料で駆動する水素エンジン車「カローラクロスH2 コンセプト」も披露された。

トヨタの水素エンジン車「カローラクロスH2 コンセプト」
トヨタの水素エンジン車「カローラクロスH2 コンセプト」

同社の山下典昭社長は、「トヨタはモビリティ企業としてお客様のニーズ、インフラ、多様なエネルギー源に対応する技術オプションの提供に注力している。お客様に幅広い技術オプションを提供することを目的とした事業戦略により、誰一人取り残すことなく(Leave No One Behind)、すべての人にモビリティを通じて幸せを創造する(Mobility for all)という理念のもと、カーボンニュートラルを実現し、前進し続けると」と訴えた。

一方、ホンダのタイ現地法人、ホンダ・オートモービル(タイランド)は、スポーツ用多目的車(SUV)「CR-V」の6代目となる新モデル(HEVもラインナップ)をアジア太平洋地域ではタイで初めて発売すると発表。さらに新車種となる5人乗りの小型SUV「WR-V」も披露し、SUVラインアップを増やし、タイのSUV市場におけるリーダーシップを強化する戦略をアピールした。また、シビックのスポーツモデル「シビック Type R」の価格(399万バーツ)を発表し、正式に予約受付を開始した。

ホンダ「CR-V」の6代目の新モデル
ホンダ「CR-V」の6代目の新モデル

BYD「ATTO 3」の累計納車台数は1万2000台超え

一方、中国勢ではまず、上海汽車グループで「MG」ブランドの自動車を生産するSAICモーターCPと、同ブランドの自動車を販売するMGセールス(タイランド)はタイ市場に新たに投入するBEVの多目的車(MPV)「MG MAXUS 9」と、エレガンスとモダンを追求したステーションワゴン「MG ES」の2車種を発表した。同社のポンサック副社長は「MGブランド第5世代のBEVであるMAXUS 9は、タイでは最初の 7人乗りMPVで、新しいEV市場を開拓することになる。2022年のMGのBEVの販売比率は、総販売台数の15%だったが、今年は30%に増加する見込みだ」と意欲を示した。MGのBEVのラインナップは、「ZS EV」「EP」「MG4」「ES」そして「MAXUS 9」の5車種となる。

また、今年3月に東部ラヨン県の工場建設に着手した比亜迪(BYD)は、昨年11月に「ATTO 3」モデルを正式発売後、現在まで人気が続いている。BYDのタイ正規販売代理店、レヴェ・オートモーティブは今回のモーターショーで、右ハンドルの小型BEV「ドルフィン」を世界で初めて公開した。販売予定価格79万9999バーツで、スタンダードモデルの予約受付を22日に開始した。レヴェのプラターンウォンCEOは、「昨年、BYDのEVに期待以上の反応と信頼をいただいたことに感謝したい。BYD ATTO 3の累計納車台数は約1万2000台以上(3月20日時点)となり、皆様への約束を守ることができた」と述べた。

BYDの右ハンドルの小型BEV「ドルフィン」
BYDの右ハンドルの小型BEV「ドルフィン」

さらに、長城汽車(GWM)は、未来の運転イノベーションを搭載した「xEV」の品ぞろえを拡充するとし、「TANK」ブランドのフラッグシップカー「TANK 500 Hybrid SUV」を発表した。公式価格発表前に購入する権利を予約することができ、6万バーツ相当の特典を5000バーツで購入できる「バリュー・プラス・パッケージ」も用意したという。GWMのタイ現地法人グレートウォール・モーターズ(タイランド)のナロン社長は、「中国の成功などで昨年の販売実績が20万台に達したフラッグシップカーTANK 500 Hybrid SUVに自信を持っている」と述べた。また、BEVの「ORA GOOD CAT」の予約受付を再開することを明らかにした。同社は2月9日、ORA GOOD CATの予約数が3000台を超え、4月末までにこの3000台の納車を済ませ、さらに6月までには合計納車台数が6000台に達すると予想している。

GWMのフラッグシップカーTANK 500 Hybrid SUV
GWMのフラッグシップカーTANK 500 Hybrid SUV

TJRI編集部

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